bP 「わくわく片付け講座」ごあいさつ




 「皆さま、はじめまして、わたくし『わくわく片付け講座』の企画をい


たしましたK社の松竹梅くら子で、講師もわたくしがさせてさせていただき


ます。また隣の松阪まろみがアシスタントですので、よろしくお願いいた


します。


そこで簡単な自己紹介をいたします。わたくしはもともと、生活用品の商


品企画をしておりました。詳しい話は、追々講義の合間にお話しさせて頂


きます。


またわたくしの名前ですが、そちらのホワイトボードに書きましたよう


に、松竹梅はマツタケウメと書き、おめでたい苗字で、くら子のクラは土


蔵の蔵という漢字なのですが、漢字にすると日本酒の名前みたいなので、


ひらがなで「くら」と書いております。


 松竹梅は長くて呼びにくいので、くら子と、名前のほうで呼んでいただ


きたいと思います。皆さまにも名札のカードをお配りしていますが、呼ば


れたい名前を書いてください。アッコちゃんでも、サザエさんでも、レデ


ィガガでもけっこうです」


 くら子はここで声を潜めた。


「ただしィ、『フレディの心の妻』なんてのはやめてくださいね。お名前


を呼ぶ時に、『フレディの心の妻さん』なんて呼ぶのは大変ですから」


 どこかで、残念という声がして笑いを誘った。


「皆さん名札をつけていただいましたから、次に大切な話で、この『わく


わく片付け講座』についてご説明します。当講座では、ものをどのように


収納するかというテクニックの講座ではありません。これからどういう自


分になりたいのか、どういう生き方をしたいかを考え、何が必要かを自分


で決め、不要なものをそぎ落とし、新しい生き方、暮らし方をする道筋を


つけるための講座と考えていただきたいと思います。心の整理をすること


が、片付かないものの整理につながると考えております。ですから、講座


に参加されたからといって、魔法の杖をふるように、お宅のものが片付い


たりきれいになることはありません。がっかりされましたか?」


 一番前のショートカットの女性が勢いよく手を挙げて発言した。


「わたしは100円ショップの小物でできるような『整理のアイデア』を


教えてくれる講座かと思って来たのですが、違うのでしょうか」


 くら子は美津子の前に移動し、すまなさそうに答えた。


「美津子さん、申し訳ありませんが違います。そういう講座をお望みな


ら、受講料はお返ししますので他の講座にご参加なさる事をおすすめしま


すが、いかがでしょうか」

 

ざわざわしていた会場がしんとなり、どうするのかと美津子を見守った。


「わかりました。わたしは忙しいので時間を無駄にはできませんから帰ら


せてもらいます」


くら子は笑顔で、どうぞご遠慮なくと促した。


 顔をこわばらせた美津子は荷物をまとめて出て行き、気まずい雰囲気が


漂った。



 

 くら子にはまだ2、3人が美津子と同じような目的で参加したであろうと


思ったが、残った19人の顔をしっかりと見渡した。


「美津子さんのご要望には応えられませんでしたが、他の方はよろしいで


しょうか。遠慮なさる事はありませんので」


おそるおそるというように後ろのほうで小さく手が挙がった。


「あの、わたしは家を片付けたいと思ってきたのですが、良いのでしょう


か」


皆の戸惑いを感じたくら子はひかるの横に立って問いかけた。


「ひかるさんは、行き先の違う電車に乗ってしまったらどうされますか」


「え…仕方ないから降りて、乗り換えます」


「そうですよね。美津子さんは行き先の違う電車に乗ってしまったけれ


ど、間違いに気づいたので降りたのです。これは誰にでもあることです


し、早く気づくに越したことはありません。困るのは終点になって、目的


地が違っていたということに気づくことです。そのままずっと行先の違う


電車に乗っていても、お互いに時間とエネルギーの無駄になりますので、


目的地の確認をさせていただいたのです。よろしいでしょうか」


 ひかるは小さくうなずいた。


「話を続けますと、家の中にものがあふれているということは、体に余分


なぜい肉つまり脂肪がついたようなものです」


脂肪という言葉にいう言葉に女性たちは敏感に反応した。


くら子は右手でぽんと自分の腹部を叩いた。


 教室の後ろの席で聞いているまろみは、くら子さんも少しやせた方がよ


いのにと思っているが、くら子はどこ吹く風と、話を続ける。


「皆さんお腹にぷよぷよと肉がついていませんか。三段腹の脂肪を燃焼さ


せるのにどれくらい運動をしなければならないでしょうか。ものの整理は


心の整理でそれと同じくらいエネルギーが必要です。脅かすつもりではあ


りませんが、皆さんの暮らし、つまり生き方を変えるのですから、覚悟を


お願いいたします。カリキュラムも少々変わっておりますし、たぶんこの


ような講座は他にないのではないかと思っております。今はどうなるかわ


からないので不安だし「ドキドキ片付け講座」かもしれませんが、そのう


ちに次は何をしようかとわくわくなさるはずです。楽しみになさってくだ


さい。それでは、前おきが長くなりましたが、松坂から今後の予定とカリ


キュラムのご説明をさせていただきます」

 




 







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