[行動経済学と老前整理7]
【ものが増える原因】
なぜ増えるのかを考える
行動経済学者のリチャード・セイラ―は行動経済学の原則を3つ紹介し
ています。
1、観察すること
2、データを集める
3、主張する
はじめの観察は、日々しているつもりですが、何を見るか、どこを見る
か、どのように見るか、でしょうか。
ピントが合ってないと、観察にはなりませんし、あさっての方向を見て
いてもお話にならない。
次のデータを集めるは、今まで集めてきたデータを生かすこと。そして
これから新たなデータを集めることでしょうか。
主張するは、データを集めた結果ですね。それはこれからですが日々、
進みつつあります。
老前整理の通信講座を初めてとして、以前からかなりのデータを集めて
います。
ものが増える原因について、いつも講演会で質問して、手を挙げていただ
きますが、2017年のこの時はアンケートの形で記入をお願いしました。
(この質問は『老前整理実践ノート』(徳間書店)他、拙著に掲載)
■当てはまると思う項目にすべてチェックを入れてください。
□ おまけに弱い
□ 安いとつい買ってしまう
□ なんでも多めに買っておく
□ 紙袋はすべて取っておく
□ 必要かどうかより、欲しいから買う
□ もらえるものは何でももらう
「はい」はいくつありましたか。
昨年の会場の結果です。(2017年)
□「おまけに弱い」と「紙袋はすべて取っておく」、「必要かどうかより
欲しいので買う」が約50%。
一番多いのは「安いとつい買ってしまう」が一番多く77%「何でも多め
に買っておく」が約40%、「もらえるものは何でももらう」が35%でし
た。
おまけに弱いは、「無料に弱い」でお分かりでしょう。
□安いとつい買ってしまう
さてこの「安い」ですが、行動経済学では専門用語で「アンカリング効
果」と呼ばれているものです。
船が錨(いかり=アンカー)をおろすと錨と船を結ぶとも綱の範囲でしか
動けなくなること、つまり、意思決定を行う際の基準を指します。
これは最初に印象に残った数字やことばが、後の判断に大きな影響を及
ぼす傾向にあることがわかっています。
例を挙げれば、店頭でコートを見て、5万円の正札に3万円の赤字のシ
ールが貼ってあれば、これは「安い」から「お買い得」だと衝動的に思っ
てしまったことはありませんか。
また「先着5名」や「本日限り」とか「残りあと3つ」など、アンカー
が使われているのです。
本当にそれが必要だからではなく、「残り3つ」だから、バーゲンセー
ルが終わるころにはすべて売れてしまい、二度とその値段で買えなくなる
という気にさせられ、買ってしまうのです。
□なんでも多めに買っておくは「メンタルアカウンティング」
□紙袋はすべて取っておくは「損失回避性」
□必要かどうかより欲しいから買うは「注意の焦点化効果」
□もらえるものは何でももらうは.「無料に弱い」と「損失回避性」が当て
はまります。
以上のように、2011年から実施してきたアンケートの「ものが増える原
因」はすべて行動経済学で説明できることがわかりました。
『老前整理の極意』より抜粋
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